CabaretM1-erotica-

・[深夜の長距離バス](1/51)
バス痴漢。完結。
「よいしょっと……」


千恵は背伸びをして、頭上の網棚に旅行かばんを乗せようとした。

「んっ……」

身長が145センチしかない彼女が精一杯爪先立っても、鞄をきちんと棚に載せるのは難しい。


(もうっ……)



22時新宿発の夜行高速バス。

朝まで走って、実家の盛岡に付くのは朝の7時過ぎだ。


社会人一年生の彼女が、初めて親から仕送りを貰わずに帰省する年末だった。

なるべく節約しようと高速バスを選んだが、座席は広々としていて一枚ずつブランケットが置かれ、トイレもついている。

夜通し走ると言うのもわくわくする、楽しみな旅路だった。


「あっ!」



鞄を手に爪先立ちで四苦八苦していると、ふいに、ひょいと背後から伸びてくる腕があった。

そのまま、軽々と鞄を持ち上げてぐっと網棚に押し込む。


「あ……ありがとうございます」


振り返ると、そこに居たのは三十代半ばほどのサラリーマン風の男性だった。

「いえいえ、お隣ですね。よろしく」


トイレを背後にした一番後ろの窓側が千恵の座席。どうやら通路側に、その男性が座るようだ。


にっこりと微笑む男性に、千恵は微笑み返した。


(男性が隣なんだ……でも、良さそうな人。よかった)

- 42 -
前n[*]|[#]次n

/51 n

⇒しおり挿入

⇒作品艫激rュー
⇒モバスペ脾ook


[←戻る]